中国人はなぜ大胆にリスクをとるのか
カテゴリ：グローバル人材育成研修 海外ビジネスのヒント
こんにちは。本日の東京は雨模様ですね。
このところの中国企業の海外企業買収の様子を見ていると
「なぜ中国企業は日本企業とは違い大胆な買収ができるのだろう？」
と思う方も多いのではないでしょうか。
日本企業もソフトバンクの孫さんのように
とても大胆な買収を繰り返す経営者もいますが、
非常に希です。
最近日経に、以下のような記事がありました。
ここから引用
—–
中国企業による海外企業買収の勢いが止まらない。
2016年１～６月の中国企業の海外Ｍ＆Ａ（合併・買収）総額は
1225億ドル（約12兆4000億円）となり、
過去最高だった15年通年をすでに上回った。
世界の海外Ｍ＆Ａに占める比率も２割を超え、
欧米勢を上回る存在感を示す。
自国企業が買収されている米国やドイツでは
資金力を武器に攻勢を強める中国企業への警戒感も高まっている。
——
引用ここまで
中国企業の積極的な買収活動の一つの理由は、
中国国内の経済の低迷で、海外市場に活路を求めている
と思われます。
また、中国政府の外貨規制がもう一つの理由でしょう。
中国は個人で海外に持ち出す通貨の量が
政府により強く規制されています。
中国人は基本的に政府を信用していないので、
もしもの時に備え、国内で儲けたお金は
政治的に安全な英国や米国に移動したいと考えていますが、
外貨規制のためになかなかそれができません。
そこで企業のオーナーは、海外企業を買収することにより
合法的にお金を海外に移動しているのです。
現状の経済状況をもとに分析すると、
以上の2点がその理由となりますが、
実は中国人が日本人に比べリスク許容度が高いことが基礎にあります。
つまり、中国人は一般に日本人に比べ
リスクをとって活動することが多いのです。
なぜでしょうか？
これには国民文化の影響です。
「異文化コミュニケーション」の世界では有名な、
「ホフステード理論」というものがあります。
これはオランダ人の学者ホフステードが、
かつて世界各国のIBM社員を詳しく調査し、
国民の文化を権力格差、個人主義/集団主義、男性性/女性性、
不確実性の回避、長期的志向/短期的志向などの次元で
分析したモデルです。
これによると中国人は、
「不確実性の回避」（不確実な状況を避ける傾向）の次元で、
日本人に比べ大幅にその値が大幅に低いのです。
3倍くらいの差があります。
つまり中国人は日本人に比べ、
不確実な状況を気にしない → リスクをとる
ことが明らかにされています。
ホフステード教授は
アメリカ、イギリス、中国など世界中の70以上の国々で調査を行いましたが、
日本人はそれらの中で「最も不確実性を回避する傾向が高い」部類に入る国民なのです。
不確実性回避志向が低い国（イギリス、中国など）では
常とは違うことを危険とは考えませんが、
日本のような国では、人々は未知のものにさらされる機会を極力減らそうとし、
ルールやシステムで秩序や一貫性を取り戻し、
リスクを限定しようとします。
日本人は、世界で最も不確性を回避する傾向にありますから、
中国人と仕事をする際に、中国人の意志決定を
リスキーで無謀と感じることが多いでしょう。
逆に中国人から日本人をみると、
慎重すぎて、面白みがないと感じるかもしれません。
海外ビジネスで成功するために、
「異文化コミュニケーション力」は最も重要なスキルのひとつですが、
上記のような「お互いの国民性の違い」を理解することが、その第一歩となります。
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フォワード・インターナショナル株式会社
代表取締役 山本利彦
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