ひとときの恋心、永遠の思い出。“トーキョー”であなたに会えてよかった。
カテゴリ:海外ビジネスのヒント 海外進出について
こんにちは。
全国的にとても寒いですね。
東京も今朝は一番の冷え込みでした。
先日渋谷で打合せがあったので、
有名なスクランブル交差点を通ったのですが、相変わらず外国人の姿が目立ちました。
交差点で写真を撮っているのはほとんど外国人です。
知人のアメリカ人に、
「なぜ外国人はこの交差点がそんなに好きなのか」と聞いてみたところ、
「映画の舞台としてよく登場するので見てみたい」
いうのが理由の一つであろうと分析していました。
2003年に低予算ながら大ヒットしたハリウッド映画
「ロスト・イン・トランスレーション」
でも舞台に使われていました。
この映画のことは編集後記でも。
さて本日は、日本企業が海外に進出する際に、
必ず直面する「現地での人材採用の問題」について
お話したいと思います。
当社にも、アセアンを中心に進出したいという
お問合せを頂きますので、
各国市場の変化をフォローしておりますが、
各国により制度、事情は異なるものの、
アセアン各国での採用・人事労務の共通の問題は、
大きく分けて3つあります。
1.社員が定着しない
2.給料上昇の幅が大きい
3.ローカライズ(現地化)
一番目の社員の定着率のお話は、
タイ、ベトナム、インドネシアなどで共通する問題です。
これらの国では、
当然日本のような終身雇用という習慣はありません。
しかも経済が急成長しておりますので、
雇用情勢は社員にとって有利な状況が続いています。
つまり売り手市場なのです。
こういった市場で、
しかも一つの会社に長く勤める習慣がなければ、
社員は当然より高い給料を求めて、
他の会社に転職することがよくあります。
日本語が話せる人材になると尚更です。
日本語が話せる人材は、日系企業からの引き合いが強く、
英語だけができる社員よりプレミアムがつくケースがほとんどです。
社員が定着しないことは、どこの会社も同じですので、
社員が辞めても仕事が回る体制を作ることが
対策になります。
つまり業務をなるべく定型化し、
「人」に依存しない体制を作るしかありません。
とはいえ中小企業では、
なかなかそういった体制を作り上げることは、
難しいケースもあるでしょう。
その場合はやはり、給料以外の部分で会社の魅力を
伝えることが対策になります。
日本人もそうですが、
人はお金だけがインセンティブになるケースはむしろ希です。
キャリアパスなどをしっかり伝えて、
会社においてどのような将来があるのかを
お互いに話し合うことで解決するケースもあるはずです。
このあたりを地道に行っている企業の幹部は、
長く勤務するケースを当社も見てきております。
二番目の給料の上昇率が高い問題は、
正直言って、いかんともしがたいというのが
正直な感想です。
この問題は日本企業だけが直面している問題ではないからです。
例えばベトナムは、このところ年間15%も上昇しています。
もちろんこのままでは、
ベトナム人は日本人より給料が高くなってしまいますので、
そう長くはこの状況は続きません。
ベトナムでは、日本語ができる社員の給料は、
日本人駐在員とあまり変わらないケースもあるようです。
日本語ができて、優秀な社員でつなぎ止めておきたい人物であれば、
むしろ積極的に登用し、幹部にすることにより
会社に貢献してもらうのが一番でしょう。
三番目のローカライズ問題は、
日本本社のマネジメントの質の問題にも関連してきます。
日本企業は相変わらず日本本社を中心に考えますので、
マネジメントスタイルが曖昧で、
意志決定が遅く、ロジカルではないことがほとんどです。
このような意志決定の仕方は、
日本の企業文化を理解しない外国人社員には理解できません。
また、日本人駐在員が日本本社の方ばかり
向いて仕事をしていると、
ローカルの社員はしらけてしまいます。
まずは各国のローカル法人に権限をもさせて、
現地である程度意志決定するシステムを作らないことには、
人の部分だけ現地化をはかっても
まずうまくいかないので要注意です。
以上3つの問題は、
実は世界中の外資系企業でも大変苦労しています。
私はサラリーマン時代、
アメリカ企業の日本支社に勤務していたことがありますが、
そのアメリカ企業も、米国本社の権限が強すぎて
ローカルの事情を考慮しない、
無茶な意志決定や指示をだすことが頻繁にありました。
つまり苦労しているのは
日本企業だけではないのです。
家族的なマネジメントを行うスタイルは、
日本企業の良さであるともいわれます。
欧米企業にブランドや給料で勝てないのであれば、
他の魅力をもっと前面に出して
社員をうまく巻き込むことが重要でしょう。
すこし前にベトナムに進出した、ある社長から聞いた話ですが、
ベトナム人社員を採用した後には、
必ず社長自ら社員の両親に挨拶にいって
お子さん(社員)を責任もって預かること伝えていたそうです。
そうすると辞めようとした時に、
両親が良い会社に入ったのだから辞めるな、
と説得してくれたそうです。
このようなことは欧米系企業は文化的に
できませんので有効な策になりますね。
今週は以上です。
(編集後記)
このメルマガの表題は「ロスト・イン・トランスレーション」
の当時のキャッチコピーです。
改めてみるとなかなかよいキャッチですね。
商品・技術 海外大ヒット化コンサルタント
フォワード・インターナショナル株式会社
代表取締役 山本利彦
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