海外進出に関する典型的な3つの課題
本日は、
中小企業が初めて海外進出に取り組む際に
直面する問題についてお話します。
現在、有望な輸出商品として
清酒業界の方とお会いする機会が多くあります。
特に製造会社つまり蔵元といわれる
伝統的な古い業界の課題を例にとり
海外進出に際して中小企業の課題についてお伝えします。
様々な地方の蔵元とお話をしていた感じたことは
以下の3つの切り口での課題です。
1.経営者・現場の危機感
2.国内のビジネスモデルを引きずる
3.戦略
1の危機感に関してお話する前に、
現在日本の清酒業界は危機に瀕しているということをご説明します。
まずアルコール全体の消費量が減っており、
一人あたりのアルコール消費量も減少しています。
一人あたりの消費量は、平成に入りほぼ毎年減少しております。
つまり25年以上減少しているということです。
一人あたりでみると、
ピークだった平成8年は99.5リットルで
平成25年の平均は82.8リットル。
17%も減少しています。
日本人全体がアルコールを飲まなくなってきているということです。
健康面を考えるとよい事かもしれませんが、
清酒業界にとってはマイナスです。
業界のプレイヤーの数も減ってきております。
清酒業界では、
業者の数が平成19年では1845であったものが
平成25年には1652となっており11%の減少です。
このように明らかに業界全体として
規模が縮小し下降傾向にあります。
しかしお会いした現場の方からは、あまり強い危機感は感じられませんでした。
経営者の中には、
たまに海外を積極的に営業のために
回っているという方もおられましたが、
現場の方は一定の危機感を持つものの、
上のものが決めることなのでと、
海外輸出には消極的な方が多いことに驚きました。
古い業界ということもあり、会社トップはオーナー系が多く
現場は「上の命令に従うだけ」という体制が一般的のようですが、
変な余裕がありました。
私は経営者のやる気が成功の要素として、
最も大切な事であると思っておりますので
現場を無理矢理にでも動かす
トップのやる気が成功への鍵です。
次に2のビジネスモデルに関してですが、
国内のものをそのまま適用しようとする蔵元が大半です。
スタッフの経験スキルが不足しているのは仕方がないとしても、
当社のような専門家を雇う或いは
海外ビジネス経験のある社員を雇用するなどして解決できます。
それより本質的な問題は、
多くの企業がいわゆる丸投げを希望しているところです。
つまり
「販売経路と支払さえ確保してくれれば海外向けも売ります」
という姿勢です。
零細な蔵元では、
販売組織を持たないところも多いのでわからないでもないのですが
国内では知名度はある程度あってなんとか回るかもしれませんが、
海外向けは、業者に丸投げではビジネスは伸びません。
海外市場のビジネスモデルの特長を学び、
それに合わせ工夫する姿勢が大切です。
3の戦略については、
2の国内ビジネスモデルにも関連しますが
消費者に関する市場調査など基礎的な情報が収集されておらず
戦略のイメージがないところが多いということです。
例えば清酒も立派な消費財ですから、
海外進出に際し、海外の消費者の嗜好、
ニーズなどを反映した戦略が不可欠です。
また輸入国の法制度、流通構造の調査なども必要となるでしょう。
以上清酒業界には批判的な内容になってしまいましたが、
これらの3つの問題は、日本の中小企業一般に言えることです。
他の業界でもこれらの問題を解決しないと
成功は期待できません。
私は日本酒好きの外国人の友人も多く、
日本酒の輸出を増やし伝統的な日本の文化を
世界に広め清酒業界が復活する、
そして日本の蔵元でも雇用が増えることを願っておりますが、
上記のような壁にぶつかっており
なかなかハードルが高そうです。
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